1974年に出版されたドイツ児童文学。
粗末な身なりをした主人公の「モモ」が、灰色の男たちに奪われた「時間」を取り戻そうとする物語。1974年に出版されたものにしては、資本・合理主義の奴隷になっている現代人へ向けた内容になっていて、今になって再評価されている理由が頷ける小説だった。
ただ自分には児童文学というか、SF小説にしか思えなかった。だって、これは完全にTimeの元ネタなんだもの。
また、本書のテーマである「時間の価値」について、忙殺され、生きる意味を忘れてしまった人々への警鐘を同じようなメッセージ性がある映画に「素晴らしき哉、人生」、「アバウト・タイム」がある。素晴らしい小説だったが、同じテーマ性の映画を見過ぎていて、もう自分にはほとんど味がしない状態だった。
他にも本書に出てくる「灰色の男たち」はマトリックスのエージェント・スミスを想起し、「時間の国」のさかさま小路で後ろ向きに歩くのがTENETのイメージが脳内を駆け巡る。
日々を忙しくなく生きるより、2度とこない今の時間を大切にする重要性を再確認した。