自分を思いやるレッスン
自分には昔から、人から批判的な言葉や態度を受けた際に、不快な感情に没入(認知的フュージョン)し、その出来事を拒絶するために脳内で反芻し、想像の中で相手に反論し返すことで怒りを増長させる思考の癖があった。
これをなんとか出来ないものかと思っていた際、出会ったのがACT、そしてこのセルフ・コンパッションと呼ばれる認知行動療法であった。
セルフ・コンパッションとは
世界共通のメンタリティーとして、多くの人が他の人によりも自分に厳しい態度をとる傾向にあることがわかってきている。
セルフコンパッションとは簡単に言えば、「他の人を思いやるように、自分のことを思いやる」ことである。
自分がつらい思いをしているとき、同じ悩みを抱える友人にならばしてあげることを、自分にもする。または、自分が苦しいと感じているときに、他の誰かにして欲しいことを自分が自分にする。
つらい感情と向き合うための3つの方法
困難な感情には、居場所を与えて労わる。そうすれば、結果的に困難な感情との新しい関係を構築することができる。
- 感情にラベルを貼る。
- 身体で感情に気づく。
- 許す、なだめる。
感情にラベルを貼る
怒り・悲しみ・絶望感・喪失感・恐れ・後悔・焦りなど。同時に現れる感情があれば、一番強く感じるものを選ぶ。
身体で感情に気づく
深呼吸をしながら、不快な感情を身体の内側で探す。頭のてっぺんからつま先まで、身体の隅々まで意識を向ける。
マインドフルネスの瞑想では、感情が揺さぶられているときには、身体のどこかが反応していると考えられています。感覚を研ぎ澄ませていくと、感情的な不快さが宿っている身体の様子により気づくようになります。
自分を思いやるレッスン〜マインドフル・セルフ・コンパッション入門
許す、なだめる
- ①:マインドフルネス:深呼吸をしながら、不快な感情を身体の内側で探し、観察する。
- ②:共通の人間らしさ:他の人たちもこう悩むことがあるだろうなと思う。
- ③:慈悲の気持ち:胸に手を当てて、「自分に優しく出来ますように」と思う。
困難な状況にある自分自身の心をなだめ、いたわります。身体で感じている心地よくない場所に、手を置く。苦しみを取り除こうと抗うのではなく、苦しみを置いてあげるスペースを用意しておくこと。
手を当てながら、「ありのままの自分に優しく出来ますように」と伝えること。自分は完璧ではない、完璧な自分になってこそが自分である。
不快な感情を観察した後、他の人たちもこう悩むことがあるだろうなと「共通の人間らしさ」を感じるフレーズを思い浮かべると良い。
感情を変えようとするのではなく、ただやさしく抱えてあげるだけ、です。感情が表れている身体の部分すべてがやわらがなくても、少しだけ、一部だけがやわらかくなっていく、溶けていくような感覚でも十分です。
自分を思いやるレッスン〜マインドフル・セルフ・コンパッション入門
防衛本能により不快な感覚を生じている心を観察(脱フュージョン)し、感情にラベルを貼る。苦を感じる自分を許してなだめる。自分も相手も愛されたい、認められたいと思う承認欲求は「共通の人間らしさ」だと認識する。
好かれたい、理解されたい、評価されたい、存在を認められたい、自分のことを分かって欲しい、人間社会は承認欲求によって成り立っている。
自己肯定感の強さというのは、単に自信がみなぎっている人のことを言うだと思っていたけど、そうじゃない。人間の不完全な部分=「共通の人間らしさ」を受け入れ、苦しみに向き合えるようになること。他人と共感できないことを受け入れること。それらが出来るようになることが、自分を自分で肯定する方法だとようやく分かった。