潮騒
1954年の三島由紀夫の小説。
歌島で漁師をしている「新司」と、浜で見かけた少女「初江」の純愛物語。「その火を飛び越して来い」というセリフが有名で、あまちゃんの「潮騒のメモリー」にもタイトルが使用されている。
若者は彼をとりまくこの豊穣な自然と、彼自身との無上の調和を感じた。彼の吸う息は、自然をつくりなす目に見えぬものの一部が、若者の体の深みにまで滲み入るように思われ、彼の聴く潮騒は、海の巨きな潮の流れが、彼の体内の若々しい血潮の流れと調べを合わせているように思われた。
第6章
この1文やり過ぎで笑った。肉体を耽美として表現しているが、これは三島が世界旅行を経験し、ギリシャ熱が最高潮に達した時の影響とのこと。ただ、三島小説にしてはこれでも”牧歌的な”作品らしい。昨日観たフェリーニのカサノバとはある種対照的な作品といってもいいかもしれない。
庶民生活と、自然と、肉体美と純愛。三島が愛した日本の美しさ。太宰と比べながら読んでいきたい。