アンガーマネジメント
内容
2020年6月から大企業において「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」が改正された。パワハラが常態化して改善が見られない企業は、企業名が公表されることが決定している。
怒りはその強い攻撃性から、家族・友情・職場を「壊す」ことがある。怒りは他者だけでなく自分にも矛先を向け、自傷行為を引き起こす場合がある。自傷行為は、身体を傷つける行為だけでなく、過度な喫煙や飲酒を含まれる。また、怒りは上から下に伝染する。弱い者から更に弱い者へ、負の連鎖が生まれる。
Googleはチームの生産性を最大化する取り組みとして「プロジェクト・アリストテレス」と名付けた労働改革を2012年から実行した。そこでは、心理的安全性の高い職場は、圧倒的に生産性が高いということが立証された。だからこそ、アンガーマネジメントは重要だ。
怒りは誰かから影響されて、自分が生み出しているものではない。怒りは、自分が生み出しているものである。自分が生み出すものである以上、怒りは自分でコントロールできる。反射的に生産する「怒り」のメカニズムを分析すれば、アンガーマネジメントできるようになる。
怒りはどう生まれるか
「べき」という信念は、個人差があり、また時代や環境によって変化する。後輩は先輩の言うことを「聴くべき」、年上からの電話は「返すべき」、料理は女性が「作るべき」など、「べき」という信念<=コアビリーフ>に陥ると、怒りを発生させる原因になる。怒りは、近い存在にこそ強く出る。これは、甘えである。
また、防衛感情が原因で怒りも生まれる。怒りは2次感情である。人間は初めに1次感情である「悲しみ、困惑、虚しさ」が生まれ、その後に1次感情の防衛の為に、2次感情である「怒り」が発生する。
怒りの根底にある一次感情を分析し、相手へのリクエストへ変換する。なぜ人がアンガーマネジメントが出来ないかと言えば、そのステップは大変に手間で、面倒臭い。その短期的な処方と、長期的改善法を体に叩き込んでトレーニングする。そうすれば、怒りにくい身体になる。
短期的な対処法
①:数値化する。腹立った際に、まずは深呼吸して6秒待つ。6秒待てば、理性が追いついてくる。怒りのバロメーターを数値化してみる。0〜10点の間で、怒りの出来事を評価する。人間は基本的に2〜3点で怒っている事が多い。
②:怒った時の合言葉を決めておく。「何とかなる」「大丈夫」「大したことじゃない」と声に出してみる。人は感情的になるとボキャブラリーを失くし、反射的な判断に頼るようになる。
長期的な改善法
①:記録する。アンガーログを録る。日付・場所・内容・要点を書く。記録を残しておくと、自分の「べき」が何処にあるかを理解する。
②:分類する。ストレスログを録る。変えられる/変えられない、重要/重要でないのマトリックスで整理する。
③;自己受容する。サクセスログを録る。自己肯定感があれば、防衛感情に余裕が生まれる。スポーツ・睡眠・コミュニティを大事にする。つまりは、心理的安全性の高いコミュニティを持っておくこと。
相手の怒りは変えられない。怒りは自らが生み出しているものであるから、それを他人が変えることなどできないし、そんなこと思わなくてもいい。出来る事といえば、怒りの土台になっている1次感情を観察し、フォーカスすること。
例えば、ハンバーガー屋さんで購入した商品の中身が乱雑に包装されたことに対して怒った客に対して、代替のハンバーガーをひょいと差し出すのは「怒りの解決」にはなっていない。客は、代替えの商品が欲しかった訳ではなく、1次感情を理解して欲しかっただけなのだ。
アドバイスではなく共感を求めているだけなのである。怒りの感情を生み出している1次感情の悲しさにフォーカスすることで、怒りを怒りとしてみない。そのバックボーンにある1次感情にフォーカスし、共感してみる。
感想
「怒る」ことに、実利は全くないことは頭では理解している。
怒っても問題解決は起こらないし、「返報性の原理」を理解している人であれば、長期的な付き合いを必要する人間に対して怒りの感情をぶつけることが非合理な対応策であることは客観的に理解できる。
過去にあった「怒りの出来事」を反芻し、あの時ああいえば良かったと思う時間は非常に不毛である。相手が居ない訳であるし、相手は何も思っていないのだから、それを想起して負の感情を呼び起こすことは無意味である。
本書でも、怒りは誰かの影響ではなく「自分が生み出しているもの」であると述べられていた。同じことをされても、同じ反応にはならないのが人間。どう受け取るかは本人に任せれている「自由」がある。
色々考えた結果、自分の中で現在の最適解は以下のようになった。
<自分>
- 自分が怒りを表してもいい。でも、大きな声で怒鳴らないこと。
- 本人に直接ガチギレせずに、1次感情が生じた時点で「心理的安全性の高いコミュニティ」を巻き込むこと
<他人>
- 怒りを「怒り」としてみない。相手は悲しさ/虚しさの「1次情報」に共感して欲しいだけで、アドバイスを求めていない。
- 言語による対話においては主観を極力排除し「客観性」で判断すること。感情的な相手には対応しないこと。関与しないが最大の報復であること。
「怒る」ってのは、何かしらの防衛本能が働いている当然の行為であって、社会生活を送っていて怒らない方が異常。相手や内容に応じて無駄に体力/精神力を消費したくないけれど、理不尽で不当な行為を全部受け流せるほど人間が出来ていない。いつか噴火してしまうのなら、自然体で普段から怒りの感情を制御しない方がいい。
突然に公共の場でワーワー怒るのはダサいから、普段から上手く怒る。でも、怒ってもいいけどコレは自分のモラルとして大きい声で怒鳴らない。怒鳴る人間はカッコ悪いからよ。こんなことされたら嫌だって思った瞬間に、怒る。我慢しない。フラストレーションを溜めない。
断るプログラミングを、以前の記事で書いた。