【映画】華氏451度(2018)

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以前に読んだ小説が最近になって映画化されていたので、観た。フランソワ・トリュフォーが監督した方はあまり評判がヨロシクなさそうだったので、2018年版のラミン・バーラニ監督作品を鑑賞。

まず、主人公のモンターグが黒人だというのが私のイメージと完全に一致している。また、ディストピアの世界観や消防署内の青暗い雰囲気も自分の脳内イメージと怖いくらい一致していて、自分でも驚いた。

ただ、非常に残念だったのがクラーク。彼女のイメージは幻想的で近寄ることが出来ない「聖」なる危険な香りがしていたが、本作では電気技師もやっちゃう腕白な女性であった。

原作ではパソコンが登場しなかったが、劇中では焚書とともにPCが焼却される。確かに、パソコンがない近未来ディストピアというのは今では考え辛い…でも、原作を読んでいるときはあまり気にならなかったなぁ。

そうそう。原作の感想では書ききれなかったけど、本書は名文学・思想からのオマージュが多用されている。カフカ、T・S・エリオット、ジョン・スタインベッグ、マキャベリ、ヘンリー・ミラー、ヘミングウェイ、シェイクスピア、ドストエフスキーなど、その引用は今の自分には全てを把握できない。

中盤から適当に観てしまったけど、原作とは全く別物の作品。原作には到底及ばないし、オマージュにもなってない。映像としてはこれくらいが限界なのかなとも。死にたかったのはモンターグではなく、読書家のベイティーだったからラストシーンも全然納得出来ない。