【読書】みる わかる 伝える

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感想

自分の頭で考える事で、思考回路が出来上がる。そうした思考回路は、嫌々強制されたり、型通りに教えられたやり方をやっていても絶対にできない。「独立した個」が考えるというのが最重要なのだ。

誰にでも理解できるよう難しい概念を噛み砕いて説明している文体だった。でも、それが逆に「まわりくどい」感触があって、結局何を伝えたいかが読み取りづらい。もう少しスマートな直接的な言葉で説明してあってもいいのかなと。図説や例を挙げて要旨を補足してあり、それでなんとか理解することができたが、ページ数が少ない割に読み込んで内容を纏めるのにかなり時間を要してしまった。

*「みる」とは
本当の知識を得ることができるのは、五感をフルに使い「3現」を原則とすることで、実体験を通して「自分で考える」プロセスを実行すること。「視点を持つ」というのは、膨大に存在するデータの中から、解析に必要な情報をだけを抜き取ること。

*「わかる」とは
要素と構造のテンプレートが一致すること。要素を構造化し、試動することで想像した現象と同じモデルであるかどうかを分析する。能動的学習でしか本物の知識を習得する術は無く、「みる」ことと同様に実体験から学ぶ必要がある。

*「伝える」とは
相手に伝わったかどうかを確認し「見守る」姿勢が重要。伝わってないのであれば、助言する。知識を伝達する上で最も効果的な方法は、むしり取らせること。情報伝達には、一般化した文章と、具現化した絵の両方を合わせる。表面化されていない「暗黙知」を共有することが組織としてミスを防ぐのに重要な方法である。

読書習慣がついてきて、別の本でも同様の主張を何度も目にしている。考える癖がついてきて、少しずつ考えること自体が楽しくなってきている。能動的学習しか真の知識を得る事はできないという主張は、今なら理解できる。

学習はまず行動からはじまる。そこで成功や失敗といった「実体験」を繰り返すうちに、頭の中に現象を理解するための「素地」が出来てくる。つまり「知りたい」という知識欲が生まれてくるのである。真の科学的理解ができるようになった人は、現象の理解がきちんとできるだけはなく、現象をモデル化して説明できる。また、条件変化による予期せぬ事態にも正しく対応できる。