英国王のスピーチ
国民から絶大の人気を誇った実兄であるエドワード8世が既婚者であり離婚歴のあるウォリス・シンプソンと駆け落ちし、そのまま退位してしまったため、不承不承ながら王位を継ぐことになってしまった英国王ジョージ6世。
その長女が現在のエリザベス女王。妹はマーガレットだが、恋に溺れるタイプだった。英国の皇室は色恋沙汰によってメディアを騒がせてきた…現代で言えばカミラゲート事件、ヘンリー王子の王室離脱にも繋がる。
エドワード5世はいわゆる「世捨て人」として有名で、劇中でも道化のように描かれるが、恋に情動し国外に離れた彼が自分は大好き。1人の女性のために、身勝手に国家の王を退位したが、晩年までウォリス・シンプソンと同じ家で慎ましく過ごした。
1936にジョージ5世が崩御し、同年12月にエドワード8世は王位を退位した。幼い頃から吃音症に悩まされており、性格も内気であった主人公のジョージ6世は自身が国王になることを全く望んでいなかった。
思った通りに話せない吃音症は、どれほど辛いものか。吃音症の原因ははっきりとは分かっていないが、心理的な問題、脳の機能障害や遺伝による説も議論されているらしい。『演説』が仕事である国王の仕事に致命的な吃音症という病は、ジョージ6世をどれだけ傷つけたのか、自分には想像し難い。障害を素敵だと思えたら。障害を少しでも愛せたら。
ライオネルの精神的支えによって、見事にWWⅡ開戦の演説を乗り切る。重要なのは心の支えである。トラウマを乗り越える力が、人間愛にはある。