【読書】サバイバル家族

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サバイバル家族

内容

登山家の服部文祥氏のエッセイ。現地で食料調達をする長期山行の『サバイバル登山』を実践し、2010年には情熱大陸に出演。メディアにも多く露出している方で、最近はyoutubeを始めている。

「そこにある山」の角幡唯介は、ノンフィクション作家でありながら『哲学者』だったが、サバイバル家族はライトに読めた。本格的な冒険記ではなく、どちらかといえばスピンオフ作品のような感じ。

本書の構成は短編のエッセイ集のようなテイストであるが、30年程度の筆者の人生体験を追体験出来る。略奪結婚から始まり、子供の出産、自給自足ライフ、近所付き合い、鶏の繁殖日記、偏差値に弱い父、庭ウンコサバイバル、僕らと同じようでちょっと違う「サバイバル家族」の家族愛にちょっぴり泣ける。

排泄中の私に「いってきます」と登校する息子たちが声をかけ、私は座ったまま手を振った。…余談だが、山で野糞をはじめて経験し、森から引き上げてきた子どもの顔は、新しい自分に生まれ変わったような自信に満ち溢れている。野糞とは教育的な効果がある行為なのだ

P182

そういえば、以前プリミティブな生活に興味があって、狩猟免許を取ろうと画策したこともあったが、体調不良により断念してしまっていた。この本をサッと読んで行動意欲が湧いてきたような気もする。

命とは代謝を続ける炭素化合物のことで、命は別の命を取り入れたり、別の命に取り入れられたりしながら、生態系全体として、うねるように続いて行く。そのうねりを構成する一粒一粒が、私であり、家族であり、ニワトリであり、私が狩るケモノである。それが生きると言うことだ。

P242