あらすじ
アレハンドロ・ホドロフスキーがおよそ23年ぶりにメガホンを取り、チリで育った自身の少年時代をモチーフにした幻想的なドラマ。1920年代、軍事政権下にあったチリの少年が、父親からの抑圧や学校でのいじめに遭いながらも家族と共に生きる日々を映し出す。
感想
2013年公開。
ホーリー・マウンテンで虜になってしまったホドロフスキー映画を、レンタルしてしまった。
主演の男の子が本当に美しい。マジで女の子みたい。何故か全てオペラ調で話す巨乳の母親。海のシーンはカモメのCGが雑に見えてしまった。
意志さえあれば痛みを解決できるとする厳格な父親。困難を乗り越える力を授けようとする旧世代のイデオロギー。世間体を気にして、ユダヤ差別を払拭する父親。
ホドロフスキーの映画が好きなのは、思想として「シュールレアリスムと禅宗」が背景にある要素が強いけど、映像に関しては聖俗の振り幅がエゲツないから。
幻想的な世界観を豊かな色彩で描いているのに、死体や暴力、セックス、偶像破壊、今回は放尿もあった…。記号的に、フリークス、同性愛者、両性具有、裸体のモチーフを配置していく。顔にマスクをしている通行人もそう。だから、ニューアカも含まれている。裸体の演出が多いのは、間違いなく禅宗から来ていて、茶道で茶室に入る前に刀を置くように、身分や年齢を捨てて人間が人間である状態を訴えているわけよ。
馬が病気人会った時の演技。あれどうやったのだろう?闇に溶けて夜が怖くなくなった話はGood。
やはり、死は悲しいことではない。ジャンプして心臓が神に近づいたってのは良かった。あと、ナチス兵を殴る時の効果音何?????
西洋版の田園に死すといった感じ。少年期の自伝映画でサーカスが登場する設定はまんま同じ。正直、最後まで微妙だった。というか、私的にはホーリーマウンテンよりも難解だった。ホドロフスキー自身の少年期と親父の物語を回想して芸術へ昇華した作品なのだろう。
続編のエンドレス・ポエトリーを見て観ないからなんとも言えないが、よくわからないまま終わってしまう。
ホーリーマウンテンのような演劇オチもないし、なんだかズルズルと物語が進んでホドロフスキーの少年時代の思い出を聞いていた感じ。
たぶん、ホーリーマウンテンを先に観てなかったらなんだこの映画!で終わってしまっていた気がする。エンドレス・ポエトリー観るかどうか微妙だけど、単体としてはあんまり面白くなかった。
星評価:★★☆☆☆
*心に残ったシーン
探し物は自分の中にある
苦しみに感謝しなさい
そのおかげでいつか私になる私たちは何かの夢
幻想に身を委ねなさい
生きるのだ
これは完全に私たちへの遺言。少年を抱きかかえているのは、自分自身だけでなく私たちを抱いている。
ホドロフスキーかっけえええええ!!!!!!!