【映画】帰ってきたヒトラー

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帰ってきたヒトラー

現代に舞い降りたナチスドイツ党首のヒトラーが、テレビ局に勤めるリストラま間近の男性に。仕方ないかもしれないが、ヒトラー役の男性が少し恰幅が良くてあんまりヒトラーに似てないのが残念。

「誰も手を挙げて挨拶してくれない」というヒトラーの嘆きから始まる冒頭から最高だし、ロッシーニの「泥棒かささぎ」が入るのも何かと微笑ましい。エンディングでも「女王メアリー二世のための葬送音楽」が流れるし、時計仕掛けのオレンジのオマージュっぽい。

クリーリング屋でのヒシャブを被った女性との会話が1番好き。

テレビ局へ向かう道中、現代に存在する社会問題をヒトラーが直接プロレタリア階級に聞いて回る。選挙による民主政治が機能していない、ドイツに拡大する難民問題にも触れており、コメディというより現代風刺ドキュメンタリー風の作品。難民問題を引き起こしているのは、ナチスの原因もあるのだが…。

ナチスドイツの理念であった純血主義により、ベルリンのオリンピックで米代表の黒人ジェシー・オーエンスを批判したけど「帰ってきたヒトラー」は、ニガという言葉が現代ヒップホップでは「友達」という意味だと諭され困惑する。金に困ったヒトラーは、絵を売って金稼ぎをする様も最高に面白い。でも、ヒトラーは写実の画才はあったと思ったが…。強制収容所の人間ナンバリングには、当時のIBMの機械が使用されたらしい。帰ってきたヒトラーはパソコンでインテルネッツを楽しむ。Facebookで親衛隊を募る。

テレビは奈落を映さず、料理番組しか映さない。プロパガンダを十八番としているヒトラーは名文句を流し続ける。貧困と失業率、難民問題という社会問題を抱えたドイツは、1930年代の世界恐慌には及ばないまでも、

人間は攻撃を受ける危機感と恐怖を持って初めて「国家」というフィクションの外郭線を意識する。不安の思念から共同体を形成し、他者から守ってきた。不安と恐怖が戦争を作り、国家<=虚像>を築き上げた。そして、平和が到来した結果、超個人主義が台頭し、これまでのイデオロギーが崩壊しつつある。

チャップリンが映画「独裁者」で観せた有名な演説のシーン。イタリアやナチスドイツから弾圧された言葉の意味。何度も観たい。