あらすじ
落ち目の俳優リック・ダルトンと彼の専属スタントマンを務めるクリフ・ブースの友情と絆を軸に、1969年、過渡期を迎えたハリウッド黄金時代を描く。
感想
2019年公開。
前情報無しで行って正解。シャロン・テート殺害事件の引用とか、途中まで意識せずに見れた。1969年は若者の社会運動が世界各地で繰り広げられていて。ロックの伝説的イベント「Woodstock」で暴動が起こった年。LSD最高!ヒッピー最高!って年だよね。日本では、学生運動全盛期、東大安田講堂事件の年。つまりは、若者が世界の中心だった年から、どん底に叩き押される年。
史実を知っている人からすれば、「この世界の片隅に」と同じ構造で。これからあんな悲惨な事件が起こるなんて…と視聴者が観て感じてしまう、歴史的悲しみが迫ってくる構造になっている。別作品で、「ジャンゴ」、「イングロリアスバスターズ」も”歴史改ざん物”で、タランティーノって歴史への報復をよくやっちまう。歴史改ざん主義者。でも、史実のオマージュを利用しているのは最後くらいで、99%タランティーノの好きなもの全部放り込んだ作品だった。
タイトルから「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のセルジオ・レオーネへの畏敬が込められており、荒野の用心棒、夕日のガンマンから引用もあるっぽい。
ブランディ
ブラピが犬のブランディに餌をあげるシーンが、ほんまに好き。ブラピが落ち目の役者っていうのが最高。ブラピって今最高にカッコよくねえか。
犬がまたされるシーンこんなにやる必要ある???あと、ドッグフード缶を開ける音ってあんなに強調する必要ある??????
あと、車のエンジン音好き過ぎん?レオ様が乗ってるキャデラックと、ブラピとフォルクスワーゲンの音、ブリブリに。エンジン音に色気を感じる時代って事なんだろうなぁ。
ヒッピー女のプッシーキャットっていう名前がまずやばいし、足長い女本当に好きやな!!!!!足の裏好きとか、まじきもい!!エンジン音と足長い女がエロいって、性癖見せられたんだけど、また笑っちまったなぁ。
友愛のストーリー
んで、さぁ、レオ様が落ち目の役者を演じているんだけど、これがまたええんよなぁ。セリフ忘れた後に、自分自身にブチ切れるシーンはアドリブらしい。アル中でクズ人間で、その人間性をブラピがよくわかってやってるんだよなぁ。ブラピもブルース・リーと喧嘩してしまって、時代遅れのミドルエイジクライシスが哀愁感やばい。これはあれか、タランティーノ本人のことだよね。
そういう性質を持ったお互いをよく理解していて、心から信用できる親友がいることが救いなんよ、この映画。これもタランティーノの願望であり、実体験なのだろうか…。
2時間41分という上映も、爽快な音楽とシーンの連続で、一瞬に感じた。
ゼロ年代のオタク文化の気質が強くて、アホで説教臭い連中を全員ブッ殺すわけ。これが、タランティーノ映画の最高な所。最後のバイオレンスシーンは、”歴史への葬い”だと思った。ラスト13分の爽快感は半端なかったし、レオ様が火炎放射器持った時には爆笑した。
駄話、くらだらない話を永遠と見せた上に、「描きたい光」の部分も晒け出さない。あぁ…聖なるオタク、帝王タランティーノ。冒頭からくだらないシーンが連続して、多幸感でいっぱいになった。合理主義の呪縛から解き放って欲しいという願望がある。日常、合理性ばかりを追い求める仕事で頭がいっぱいになるから、やっぱりどーでもいいことで頭いっぱいにしたいっていう欲求がいつもあんねん。
星評価:★★★★★