あらすじ
とある夫婦が森の中で盗賊に襲われ、夫は死体で見つかった。検非違使による調査が行われるが、当事者たちの証言は大きく食い違う。
感想
1950年公開。
久しぶりに古い映画を。黒澤映画を初めて観た。芥川龍之介の羅生門と藪の中をミックスした作品。
言い分の違う3人の話を、それぞれの視点から再現される話。でも、結局3人の告白は見栄のための虚偽だった!
下人も言ってるけど、人間のすることなんか訳ワカンねぇって話。
日本人って義理人情とか、倫理観を大事にする民族で。律儀な国民性って前から変わってないから、今でも作品が評価されるのだろう。そういえば、先日見た「万引き家族」においても、倫理観がテーマに含まれていたな。
よくドラマとかではあるけど、映画でこんな構成ってあまり見たことがないなぁ…。…だから、映画というよりドラマを見ている感覚に近かった気もする。ロケーションが少ない割に、カット割が多く、低予算の中で作り込まれているのが見て取れる。
三船敏郎と、京マチ子の演技は今見ても美しい…。炎天下に滴る汗と、狂気の眼差しと。後半の30分はほぼセリフもなく、逃げ惑う様子を写しているだけなのだが、カメラワークや演者の動きが美しい。
知らなかったけど、京マチ子は今年の5月に亡くなっていたようで。
公開が1950年だから、今から数えると70年も前の作品なんだけど。デジタルリマスター作品は今でも遜色なく見られるな…。
星評価:★★★☆☆