あらすじ
コメディアン志望の青年が願望実現のために常軌を逸した売り込み作戦を実行する姿を描く。
感想
1982年公開。
デニーロは今までギャングものの映画ばかりを見ていたけど、デニーロの演技の幅広さを実感した。妄想癖のある男性が、次第に狂気が肥大化して自分がTV番組の司会者になる為に、有名なコメディアンを誘拐するっていう話だったけど、ここまで道化を完璧に演じられるとは…。
特に、白黒のハリボテで制作した擬似TV番組セットを家に設置しているシーンは、ホラー映画よりも怖かった。男の妄想癖ってクソだよなっていう内容を突き抜けて、ガチの狂気を魅せられる。コメディじゃ無くて、完全にサイコパス映画。
TV番組をジャックして、オープニングでジョークを飛ばすシーンもめちゃくちゃセリフ長かったけど、どれだけ練習したのだろうか。デニーロがルパート・パプキンに憑依して、ルパート・パプキンが有名コメディアンに憑依している、ダブル憑依の図式。wikiよると、デニーロ自身が脚本を持ってきて、スコセッシに監督を依頼したらしいが、役作りのレベルが段違い。
後半に入ってからの緊張感がまた堪らない。犯罪に手を染める、嘘で固めていく時の緊張感が上手い映画ってなんて心地よいのだろう。ドミナントが続いて、解決に向かうためのトニックが見つからない状態が堪らなく好きだ。
結果的に主人公が有名になる「炎上商法」的な結末も面白かった。デニーロ×スコセッシにハズレなし!
星評価:★★★★★
