あらすじ
大都会ニューヨークを舞台に夜の街をただ当てもなく走り続ける元海兵隊のタクシー運転手が、腐敗しきった現代社会に対する怒りや虚しさ、逃れられない孤独感から徐々に精神を病み、ついには自分の存在を世間に知らしめるため過激な行動に走る姿を描く。
感想
1976年公開。
若い頃のデニーロ!!!!若くて、孤独を抱えて、寂しげで、飢えているタクシードライバーの役が、ピッタリ!
デニーロは歳とってからも渋いし、Once Upon a Time in Americaも最高だったけど、名俳優は若い頃から凄いのね…。ジョディ・フォスターも若くて綺麗…このとき13歳だなんて…全然見えない。
初めて事務所の中へ入った後のセリフがグッとくる。多分、これは自分に言ってるよね。
君は独りぼっちだ。ここを通る度に見てると君の周りに大勢人はいて、電話や書類で一杯だが、何の意味もない。ここへ来て、君に会い、その目や動作を見ても君は幸せな人じゃない。君には何かが必要だ。多分それは、友達だよ。
スコセッシの映画もっと見たい。個人的にウルフ・オブ・ウォールストリートから2作品目だが、狂気を要素に入れ、社会の闇を画面一杯に投影しながら、女性の美しさを引き立てる。そして、何よりも男の情けなさを中心に置く。男という生物が、無神経で、女ったらしで、儚く、弱い存在であるのかを描く。男の生き様が、如何にどうしようもなくて、美しいのかを描いている。
失恋して、絶望の中、タクシードライバーの先輩に転職の相談をするときのセリフもいい。ルサンチマンのその先を語っている。
…人間なんてなるようにしかならんよ。貧乏人、金持ち、弁護士、医者も同じだ。死ぬ奴、病気が治る奴、生まれて来る奴もだ。お前は若い、女を抱け。好きなことをやるんだ。どうせ俺たちは負け犬だ。どうにもならん。俺たち運転手に何ができる?
中盤以降の展開が、残念ながらそこまで響かなかった…。次期大統領を殺人未遂したのも、売春婦の宿を襲ったのも、結局は腹いせにしか見えない。せっかく、夜の街を憎んでいる描写があったのに、結局自分も同じ穴のむじなに変貌してしまった。誰にも受け入れてもらえなかったオチが、復讐や腹いせでは面白くない。売春宿を襲ったのは、アイリスを助けるためという自己犠牲の考え方もあるかもしれんけど、あそこまでしなくていい。
あと、なぜモヒカンにしたのか…あれが一番のナゾ。
他のレビューを見ると、突然殺人を犯すトラヴィスは、この世に多く存在することが怖い!なんて話もあったけど、もう現在になるとこんなことは当たり前で…。もうその発想自体が狂ってるのか?
星評価:★★★☆☆