あらすじ
精神異常を装って刑務所での強制労働を逃れた男が、患者の人間性までを統制しようとする病院から自由を勝ちとろうと試みる物語…。
感想
1975年公開。
シャイニングに続いて、ジャック・ニコルソンの主演映画は2作目。やっぱ普通の表情が怖い。特徴的なのは眉毛。そして、忘れちゃいけないのがクリストファー・ロイド。バック・トゥ・ザ・フューチャーのドクでお馴染みだけど、メジャー作品に出たのはこの作品が初めてらしい。
1975年の映画だから、実際はシャイニングより5年ほど前の映画なんだなぁ。
病的な雰囲気を持つ役者をここまでよく揃えた。ただ、リアル過ぎて見るだけでしんどい。本当にリアルな表情をする。人からばかにされてるときも、嬉しいときも。
患者が暴言吐いて暴れてるのに、看護師が黙って聞いているの怖い。いつもの光景だから、手を下さないってことなのだろうか。
心の悩みを打ち明けること、共有することは自分が思っているより重要なことかもしれない。生きる事について、愛について、趣味について、嫌いな事について、死にたくなった事について、共有できる中身と人間は限られていて誰とでも語ることはできないけど、話すことが心の療法につながる。人は知らず知らずのうちに、心にストレスを抱えている。自分でも気づかないうちに。
規律のある環境をぶっ壊して、めちゃくちゃやりまくる作品の1つなのだけど、自由を描く上でこの描写はやはり必要だったのだろうか。主人公の生き様は自分には全く共感できない。いや、この当時はこういう描き方のウケがよかったのだろう。女と酒とタバコ=「自由の象徴」というも今になってはあまりにも古臭い。
現代は”自由”の意味合いが違う。自由であるからこそ孤独で、自由であるからこそ生きにくいのだ。現代ではそういう感覚が溢れている。自由の描写に関しては、「大人はわかってくれない」の方が良かった。1つだけ良かったのは、「1人になりたいという願望は病気なのですか?」は良いセリフだった。
誰にも必要とされなかった大男がシュートを決める。マティーニが楽しそうに関係ないところにパスを出す。いつもは必要とされない、わかってもらえない人間が、必要とされる。そういう救いも描かれている。
外に出られてもさほど楽しそうじゃない患者たち。楽しく生きていける環境というのは人それぞれで、どこか特定の環境に押し込むべきじゃないよね。
電流を流すって本当にある治療なんですかね?と思って、調べたら「ロボトミー手術」という現在は禁忌とされている方法らしかった。本当におかしくなってしまった最後もロボトミー手術のせい。ブラック・ジャックにも出てくるらしい。
酒飲んで脱走失敗してるし、婦長の首を絞めるシーンは驚いた。最後もなんで主人公を殺したのか???と思っていたけど、アレは現実で脱走ができなかったからあの世に連れて行ったってオチらしいが、それでもよく分からん。
まーでも、役者はマジで凄かった。
星評価:★★☆☆☆