【映画】ホドロフスキーのDUNE

  • ブックマーク
  • Feedly

あらすじ

驚異的な豪華メンバーを配するも、撮影を前にして頓挫した。 84年にデヴィッド・リンチによって『デューン/砂の惑星』が制作され、ホドロフスキーの『DUNE』は幻の作品となってしまった。

感想

2013年公開。

ホドロフスキーの映画は4作品目となる。人間の本質を描いているから好きだ。

幻の未完の作品「DUNE」を巡って、ホドロフスキーの半生が描かれる。エルトポ、ホーリーマウンテンの制作秘話も含まれているので、先にホドロフスキーの作品を観ておいた方がいい感じ。何が良いって、ホドロフスキーの生き生きとした少年のような表情が素敵なんだ。俺はマジでああいう爺さんになりたい。映画も惹きつけられるナニカがあるが、生身の人間としても魅力がある。

全てが詰まっている冒頭の言葉。

人生の目的とは何か?自分を魂として昇華させること。
私にとって映画とは芸術だ。ビジネスである前にね。
絵画や小説や詩と同じように、人間の魂を深く探求する。それが映画だ。

ダリとの逸話や、ギーガーとの話は美術の観点からも面白い。ミック・ジャガーやオーソン・ウェルズなどの著名人との出会いと、脚本の面白さから完成すれば大作になったことは間違いないと断言できる。

2001年宇宙の旅の特殊効果を手がけたトランブルの精神性の低さに幻滅した話も興味深かった。ピンクフロイドがビックマック食べててホドロフスキーを無視してたら、ガチギレしたエピソードも最高。ホドロフスキーは人間をちゃんと見てる。ただ、一方でピンクフロイドのアルバム「狂気」について、人間そのものだ!とホドロフスキーが絶賛していた。あぁ〜確かにオウテガへも繋がる気がしている。

DUNEの映画制作予算は1500万ドルで、時間も10時間を超える映画を作るという常軌を逸した構想…(これは多分盛ってる)そして何よりも圧倒的な狂気を持つホドロフスキーが監督だということで、ハリウッドは拒絶した。配給会社に拒絶されて、家に引きこもったホドロフスキー。人生の中で最も屈辱的で、自分の信念を打ち砕かれた瞬間だったと。ハリウッドに拒絶された後、デヴィット・リンチに企画が渡ったのもここで紹介されてた。そして、リンチの映画を観て大失敗だったため、元気を取り戻したらしい。この辺も、大人気なくて最高。

やっぱり、ホドロフスキーの哲学が大好きだ。お金とはただの紙切れなんだ!!!自分の子供に魂の戦士になれ!って言って、空手とか習わせたのも無理やりでおもろい。2年間毎日6時間やらせたってマジで鬼畜。結局、ホドロフスキーが親に受けたことと同じことしてねぇか?って思ってしまった。

傑作と言われるSF映画の元ネタになっているんだなぁ…。ホドロフスキーが人生をかけた「DUNE」が完成していたら、2001年宇宙の旅よりも、スターウォーズよりも大作になっていたと第一線で活躍している多くの著名人が語っている。 エイリアン、ブレードランナー、ターミネーター、マトリックスの演出に影響を与えていたなんて!!全てではないかもしれないけど、未完のDUNEが与えた影響は計り知れない。宇多丸のラジオで言ってたけど、風の谷のナウシカもかなり影響を受けたらしい。確かにそうかも〜。

クリエイターの人には是非観て欲しい。SF映画史を語る上でも面白いけど、ホドロフスキーの哲学と精神性を参考にして欲しい。ホドロフスキーは勇気を与えてくれる。無邪気で、大人気なくて、美しい。

志を持たずに生きるなんて、無理だ。
できるだけ、大きな志を持つ。
失敗しても構わない、挑戦するんだ。

星評価:★★★☆☆