あらすじ
比較的、女性にモテて、セックスを中心に人生を生きてきた津島隆太。 過去に付き合った女性との浮気を疑われ、彼女から暴力を受けた彼は、その頃から体に異変を感じ始めていた。 気軽に心療内科を受診してみると、診断は「セックス依存症」…。 ここから始まる地獄の日々と回復への道を探る物語である。
感想
2018年11月現在は連載中の作品。最近面白い漫画をネットから拾ってきてしまう。
ググってみると、どうやらノンフィクションのドキュメンタリーらしい。主人公の名前も作者と同一で。
作者の津島さんは担当医の先生に出会えて本当に良かったと思う。原因と責任を混同するな!とか名言。ああやってズバッと認知の歪みを正してくれる先生が必要。EMDRの治療ってこの漫画で初めて知ったな。
この漫画では”セックス依存症”なんだけど、うつ病、ギャンブル依存、アル中、痴漢、売春etc…精神的な病気というのは、まず病気であることを自認する必要がある。それが結構難しい。元々の性格や能力の問題と偏った視点で自己嫌悪に陥ってしまいがちだが、そもそも自分に合った環境かどうかが重要で。相手や環境に合わせることに慣れていると、自己肯定感はどんどん下がるばかり。だから、最適化論の記事を書き始めたんですけど。何が自分にあっていて、何があっていないかを分かっていることが大事。
この人の場合は、彼女から暴言を吐かれたり、ハンマー殴られたりしてもセックスのためにそれらを全て許してきたこと。ドーパミン過剰による快楽を求めるがあまり、誰かから不当な要求や暴力を投げかけられても許してしまう。ハンマーで殴られはしなかったけど、自分も過去にそんな経験があるな…。
ドーパミン過剰による快楽を得て依存傾向にあれば、それは病気の始まりだ。セックスでも、ドラッグでもそれらは起こりうる。ドーパミンの正しい発散方法とバランスを失えば、誰でも依存症に陥る可能性がある。過去に大きなトラウマを抱えている人であれば尚更。これって、なかなか理解されないことで、突然起こりうるから本当に気をつけないといけない。優しい人、協調性の高い人ほど”依存”に陥りやすい。ドーパミンの発散方法は何であれ、有害でなければいいと思うのだが…。
読み進めると、作者の壮絶な過去が分かってくるのだが、それは本作を是非読んでみて。
治療法って色々あると思うけど、結局は自己肯定感を取り戻す作業で。あなたはここにいていい、生きるだけで価値があると言葉にしてもらうだけで救われる。自分の体験を他の人に話すことも、自分を許すことに繋がる。世界は広くて、自分より深くて大きなどうにもならない悩みや劣等感を持ち合わせた人間がたくさんいるべ。
余談だけど、海外にはエッフェル塔と結婚した/ベルリンの壁と結婚したという「対物性愛」の話は驚嘆した。