あらすじ
女家長エレンの死をきっかけに、グラハム一家は怪現象に苛まれるようになり、ついには孫娘が命を落とすことになった。母が遺した謎を追求する過程で、アニーは一族が呪われていることを知った。アニーは悪しき運命から逃れようと必死になるが…。
感想
SNSで話題になっていた作品だが、近くの映画館で放映されていなかった。大阪旅行の際に、念願叶って鑑賞できた。午前中にホラー映画を鑑賞するというのもオツなもので、非常によかった。また、いつもと違って劇場にお客さんが結構入っていたが、ホラー映画はみんなで見るのが楽しい。周りのリアクションを背中で感じながら、恐怖感を劇場いる人で共有する感じがいいなと初めて思った。
まだ観てない人は、ネタバレ無しで行った方が絶対面白い。自分も、前情報無しで行って良かった。
ミニチュアから始まる冒頭。ホラー映画によくある演出で、ミニチュアが動き出したりするかなぁ〜と思いきや、その演出は最後までない。
チラッと映る婆さん(エレン)の写真が既にめちゃくちゃ怖い。
ストーリー的には、自分の場合、女の子(チャーリー)が何かを継承しているのでは?と思ったが、早めに交通事故で死んでしまい、1個目の裏切りがあった。あのシーンも、頭が電灯にぶつかるな気持ちの悪い”野太い重低音”が劇場内に響き渡る。そして、その後も兄のピーターの顔を長尺で映し、後部座席の映像を焦らす辺りの演出も凄くいい。あそこは怖かった。
そうなんです。何と言っても、音響がとても良い。心音を”緩”の部分から伏線的に使用し、シーンを跨いで使用することでプレイバック効果を生んでいる。また、5.1サラウンドでハエの羽ばたきが左右に振って不気味さを強調させる。こういうのは、映画館じゃないと解らない。
アニー(お母さん)が集会に参加した際に、家族の成り立ちをさらっと説明しているシーンも上手い。それまで家族構成や状況について全く説明がなかったが、あの集会のシーンでどんな家族なのかを理解することができる。ストーリーを展開させながら、観客側への説明にも成っているシーンだった。
そして、この映画の大きな特徴は、グラハム一家の謎を最後ギリギリまで解き明かさない事である。焦らして、焦らして、こんなに伏線を散りばめて、風呂敷を広げて大丈夫?と思ったくらい。
最終的にはほとんど回収してくれた。ホラー映画の伝統的な演出を活かしながら、緩急を織り交ぜて観客を飽きさせないように緻密に計算されているなぁとも思った。
霊的効果と家族崩壊の恐怖が、相乗的に恐怖感を増幅させていく。やはり、女性のヒステリックは何よりも怖い。後半から、「緩」の間隔がだんだんと狭くなっていき、物語の真相へと到達していく。婆さん(エレン)の時代に起こった残虐な出来事によって、家族への呪いが始まり、女の子(チャーリー)がその鍵になっているのかと思いきや…「地獄の扉よ、開け」が意味するものが、まさか悪魔的な世界観に繋がるとは全く予期してなかった。
だからこそ、最後はすごく面白かった。屋根裏で裸の人間が出て来たときも、あの人たちは何なのかわからなかったが、小屋で頭を下げている様子を見て、あぁ〜信者だったのかとようやく分かった。本当に、最後の最後で謎が解けた。ただ、それと同時に、これはホラー映画なのか?という疑問も生まれて、まさに新感覚。最後は声を出して笑ってしまった。こんなオチ想像できねぇよ。
個人的に狂気が美しかったのは、女の子(チャーリー)が外出した際に、婆さん(エレン)が草木が生い茂る中、白装束の格好と炎が舞い上がっているシーン。狂気と恐怖とアートが一体化したような描写で美しかった。
まだネット評論をググってないので、アレだけど今の所星評価は4つ。新感覚すぎて、咀嚼できてないのが事実。ホラーというジャンルに定義して良いのかも断言できない。
星評価:★★★★☆