【映画】イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

第二次世界大戦時に使用されたナチスドイツの暗号機『エニグマ』を解読する装置を発明した英ケンブリッジ大学の教授を務めた数学者アラン・チューリングを題材にした映画。

アラン・チューリングは今では人工知能と父と呼ばれている人物で、第二次世界大戦の連合国軍を勝利に導いた立役者であったが、政府が暗号解読を機密事項としていたために2000年代までその活躍を知られていなかった。

また、アラン・チューリングは同性愛者であったが、当時はLGBTと呼ばれる存在も認知されておらず、イギリスでは同性愛者は同性愛の罪(風俗壊乱罪)で逮捕される。その後、保護観察の身となりホルモン注射等で『治療』を受けるものの、青酸カリで自害を遂げた。

天才と呼ばれる人間たちは、ほぼ全員が変人である。そして、ハイコンテクストな会話が一切通用しない。「俺たち昼飯に行こうと思っているんだ」という話には全く返答せず、「ご飯行かないか?」と聞かれると答える。そこに全く悪気はない。劇中にわざと対立させている中佐の根性論とは真逆の人間像で、主観を排除した客観でのみ対話可能であるのが面白い。

時として誰も想像しないような人物が、想像できない偉業を成し遂げる。

そう。これは陸軍の創始者である大村益次郎と同じ。感覚は一切通用しない、合理主義者なのだ。周囲からはそれが残酷だと非難される。

チューリングがクラークに同性愛者だと告白するシーンが好き。

だから何?ずっとそうだと思ってた。私たちは人と違う。私たちなりに愛し合い生きていけばいい。あなたは完璧な夫じゃないし、私も完璧な妻になる気なんてないわ。あなたの帰りを待ってラムなんか焼かない。仕事をするの。そして、一緒にあなたと暮らす。心を通わせながら。普通の結婚より素晴らしい。あなたが好きなの。あなたも私のことが好き。

ラストシーン間際の、人間の弱さを見せるチューリング役のベネディクト・カンバーバッチの演技に痺れた。

エニグマ解読は2年以上の戦争終結を早め、1400万人以上の人間を救ったと言われているらしい。